ヤマハTZR250初期型(1KT)の雌型はアッパー3ピースとロワーの合計4ピースで構成され、この内側にガラス繊維を貼り込みます。
ガラス繊維は貼り込んだ際に余分や不足が発生しないよう予め部位ごとに粗裁ちしたものを用意し、雌型の内側に当てポリエステル樹脂を浸透させてフィットさせます。
金属ローラーで繊維に樹脂を浸透させつつ気泡を押し出し、ウールローラーで余分な樹脂を吸い取って面厚を均していきます。面厚が不均一であったり樹脂溜まりができてしまうと全体強度のバランスに影響するため慎重確実に含浸されます。
タンク内にコック取付用の雌ネジやエアベントチューブを配置し固定します。
アッパーとロワーを接合、隙間に特別調合したパテを擦り込みます。
FRPタンクの弱点はアッパーピースとロワーピースの接合面です。従来品ではこの接合部に給油口からポリエステル樹脂を流し込み、隙間を埋めて完成となりますが、この構造では硬く脆いプラチック塊を介して接着されただけの状態となるため、強い衝撃を受けた際に割れリスクが高くなってしまいます。
この弱点を解消するため当社では独自の「SEAM SEAL(シームシール)」技術を採用。アッパーとロワーを接合部にガラスマット繊維を貼り込み、ポリエステル樹脂で一体化させることで従来の弱点を克服しています。
SEAM SEALの施工はタンクの内部接合面にぐるっと一周FRPを貼り込む必要があり、この作業エリアを確保するため一度仮接合を終えて完成形状となったタンクの天面を大きく切開します。
切開した窓から接合部内周全体ににガラス繊維を貼り込むことで接合部の強度は飛躍的に高められ、振動などによる接合部の剥離やガソリン漏れを防ぎます。当社独自のこの工程はたいへん手間のかかるものですが、より安全性を高めるためすべての当社製タンクはこのシームシーリング処理を施しています。
シームシーリング処理を終えたら切開窓を閉じスムースな天面に復元します。
通常のFRP製品は白ゲルコート状態での出荷となりますが、当社製タンクはシームシーリング処理跡が残るためサーフェイサーによる下地塗装を施します。
完成です。この後オプションにより純正色復元塗装も承ります。